熱血教師が生徒の数学のやる気と成績を上げる!?

熱血教師と言えば、スポコンドラマや漫画に出てくるような熱い先生を想像します。

ここまで熱血と言わなくても、実は熱心な教師は、生徒の勉強へのやる気と勉強成績を上げます
やる気のない教師の授業は、教師の声の張りもなく、眠たくなります。
一方、熱心な教師の授業は、なぜか目が覚めます。
そして、授業を聞いていたがゆえに成績も上がって、その教師が好きになります。

これは筆者の体験談ですが、このような体験は誰にでもあるはずです。

今回は、そんな教師の姿勢の違いが、生徒の勉強へのやる気と成績に及ぼす影響について教育心理学の研究を紹介します。

①熱血教師が生徒の数学のやる気と成績を上げる驚きの事実

教師の姿勢は生徒の勉強へのやる気と成績に大いに影響します。
熱心な教師だとそうでない教師と比べて、クラスの雰囲気も変わりますし、勉強に取り組む生徒も多い気がします。

そんな状態を数学の科目に絞って研究したのが、ゲーテ大学をはじめ、そうそうたる大学・研究機関が共同で行った、Kunterらが2013年に発表した研究です。
彼らは、中学二年生を対象に一年間研究をし、教師のどのような特性が、生徒の数学へのやる気と勉強成績を上げるのかを調査しました。

数はなんと、180人以上の教師、190人以上のクラス、4300人以上の生徒を対象にしている大規模な研究です。

すると、一貫して、中学三年生の時の数学へのやる気と数学の成績の向上に関係したのが、「教育熱心」の項目です。

この「教育熱心」の項目は、主に「教えることを、教師自身が楽しんでいるか」を表すものです。

数学力と教育熱心度の相関関係

教育熱心の項目が高いほど、生徒の数学へのやる気も成績も高くなります

少し日本語の「熱血」のイメージとは異なりますが、教えることに情熱を持った熱血教師ほど、生徒の数学へのやる気と成績を向上させるのです。

②熱血教師の姿勢はクラスの雰囲気も良くする。

熱血教師の良さは、生徒の数学へのやる気と成績の向上だけではありません。
実は、学習のサポートとクラス運営の上手さにも関わります

学習のサポートは、
「教師がどれくらい柔軟に説明できるか、そして、どれくらい間違いに対して建設的に忍耐強く反応できるか」
「教師と生徒の関係がお互いに尊敬できて、配慮できているか」
などを生徒が評価した値になります。

また、クラス運営は、
「クラス崩壊を防いでいるか」
「クラスの時間を有効に使えているか」
「クラスの雰囲気が良いか」
を示す指標です。

すると、この学習のサポートもクラス運営も、教育熱心の項目と関係があり、教育熱心であればあるほど両者とも高いという結果です。

最終的に、「教育熱心」「学習のサポート」「クラス運営」がどのように生徒の数学へのやる気と成績に影響するのかを示したのが、以下の図です。

教育熱心と学習のサポートとクラス運営が数学のやる気と成績を上げる。

教育熱心な教師の態度が、学習のサポートとクラス運営を良くして、さらにそれが数学の成績と数学へのやる気を上げるのです。

このように、熱血教師は、実は数学だけではなく、多方面にプラスの影響をもたらします。
そして、まわりまわって生徒の数学へのやる気と成績向上につながるのです。

③まとめ

以上より、

  • 教育熱心な教師は生徒の数学へのやる気と成績を上げる。
  • 教育熱心な教師は学習のサポート能力が高い。
  • 教育熱心な教師はクラス運営も上手い。
  • 熱血教師の態度は多方面に影響し、まわりまわって生徒の数学力を高める。

熱血教師だと「ウザい」と思われることもあるかもしれませんが、そのような教師の授業は結構聞いてしまうことがあります。

特に苦手意識を持つ生徒が多い数学で、熱血教師がやる気でも成績でもプラスの影響を与えるのは事実です。

賢くてすました教師ではなく、情熱にあふれた熱血教師の方が生徒に与えるものは多いです。

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数学が苦手な子どもは、意外と熱血教師のような人を選んでみると数学が好きになるかもしれません
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参考文献

Kunter et al. (2013). Professional Competence of Teachers: Effects on Instructional Quality and Student Development. Journal Educational Psychology, 105(3), 805-820.