子どもの勉強意欲を高めるための親の向き合い方
「勉強しないと将来困っちゃうよ」
「○○大学に行きたいのなら勉強しようね」
子どもの勉強意欲を高めるには、勉強の動機や勉強をして達成したい目標があると良いです。
受験期になると、進学したい高校や大学ができて、目標が明確になります。
しかし、前回の記事のように目標の立て方にもいくつかタイプがあり、どのようなタイプかで子どもの勉強への意欲や取り組み方が変わります。
勉強の目標は、子どもと親がどう勉強に向き合うのかが大事です。
テストの点数を高めたいのか、良い高校や大学に行きたいのか、それとも勉強を通して子どもの能力を伸ばしたいのか。
今回は、「子どもの勉強意欲を高める親の向き合い方」を、教育心理学の観点からお伝えします。
目次
①子どもとの勉強の向き合い方には三つのタイプがある!
子どもと勉強について向き合う方法はいくつかあります。
前回の記事でもご紹介した、アメリカのヒューストン大学所属のWolters (2004)の研究には続きがああります。
この研究は、先生の指導方針の影響だけではなく、実は子どもの勉強への向き合い方も勉強意欲を出すためには大切だと示しています。
彼の研究では、子どもの勉強への向き合い方を三つのタイプに分けています。
一つ目は、「習得重視型」で、勉強で学んで何かをできるようになること自体を重視する向き合い方です。
親からすると、「算数や数学を頑張って数字に強い子になってもらう」という向き合い方が近いです。
何かができるようになることが大事ですので、他の子との優劣とは関係ない向き合い方です。
二つ目は、「パフォーマンス重視型」で、勉強で高得点を取って自分が周りよりも優れていることを示すのを重視する向き合い方です。
親からすると、「うちの子は他の子より優秀で、親である自分も誇りに思う」という向き合い方に近いです。
算数や数学の能力ではなく、「クラスで一番」のように他の子と比べて優れていることが大事とする向き合い方です。
競争心を掻き立てて、勉強ができるようになることを良いとするスタンスです。
三つめは、「パフォーマンス回避型」で、「できない自分が嫌だから勉強を頑張る」ように、能力不足の自分が証明されることを避けるために頑張ることを重視する向き合い方です。
親からすると、「最下位だと恥ずかしいから、勉強だけはしなさい」という向き合い方に近いです。
他の子と比べて、我が子が劣ることを避ける向き合い方です。
「人並みでもいいけど、せめて他の子と同じくらいできてね」というスタンスです。
まとめると以下の図のようになります。
②親の向き合い方のタイプと子どもの勉強意欲との関係性
これらの勉強への向き合い方と、子どもの勉強意欲の関係性は以下の図のような結果になりました。
「選択」とは、自分から算数や数学の授業を取ったりなど自主的に選ぶ傾向を示します。
「努力」とは、自分から算数や数学をより一生懸命やろうとする傾向を示します。
「持続」とは、算数や数学をより長期間取り組む姿勢を示します。
「先延ばし」とは、算数や数学の勉強を後へ後へと先延ばしのする傾向を指します。
すると、「習得重視型」の向き合い方をする子どもほど、算数や数学の勉強を自発的に行い、一生懸命し、長時間取り組むようになります。
逆に、算数や数学の勉強を先延ばししなくなります。
一方、「パフォーマンス回避型」の向き合い方ををする子どもほど、算数や数学の勉強を自発的にしようとせず、短時間しか取り組めず、しかも勉強を先延ばしにする傾向です。
このように、先生の指導方針だけではなく、子どもとの勉強への向き合い方も子どもの勉強意欲に影響します。
子どもは親の影響を多分に受けますので、親がどう子どもの勉強に向き合うかは、子どもの勉強意欲にかなり影響することがわかります。
③まとめ
まとめると、
- 子どもの勉強への向き合い方には、「習得重視型」と「パフォーマンス重視型」と「パフォーマンス回避型」の三つがある。
- 習得重視型の子どもは勉強を自発的にし、より努力し、長く勉強をするようになり、勉強を先延ばししなくなる。
- パフォーマンス回避型の子どもは、勉強を自発的にしなくなり、長続きせず、勉強することを先延ばしにする。
親御様が子どもの勉強にどう向き合うかが、子どもの勉強意欲に影響しうるとも言えます。
親御様は、子どもが勉強をすることで「何ができるようになるか」に重点を置いた方が、子どもの勉強する意欲が高まると思われます。
「○○ちゃんより勉強ができるようになりなさい」と他人と比べていては、最初は良くても、後々勉強意欲を失って、勉強しなくなる可能性もあります。
そんな時、親御様と一緒に子どもの勉強に向き合ってくれる身近な存在がいると安心です。
「かてきょの森」では、そんな先生を探せます。
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参考文献
Wolters. C. A. (2004). Advancing Achievement Goal Theory: using Goal Structures and Goal Orientation to Predict Students’ Motivation, Cognition, and Achievement. Journal of Educational Psychology, 96(2), 236-250.