オンライン家庭教師で生徒のモチベーションを維持する一工夫

オンライン家庭教師で生徒のモチベーションややる気を維持する一工夫

オンライン家庭教師が、とても流行っています。

わざわざ塾や施設に通うことなく、自宅で気軽に勉強を教えてもらえるのが魅力的です。

しかし、学校や塾のようにリアルで授業を受けるのとは違い、オンライン家庭教師だと先生や他の生徒と会えないです。

そのため、オンライン授業では生徒の勉強へのモチベーションの維持が難しいとのお声をいただきます。

今回は、そんなお悩みを教育心理学の研究をもとに解決します。

勉強への興味を引き出してモチベーションを上げ、成績を向上させる方法について見ていきます。

大事なのは、授業での何気ない”一工夫”です。

①オンライン家庭教師は、リアルの授業に比べてモチベーションの維持が課題

そもそも、オンライン家庭教師では、どのような困りごとがあるのでしょうか?

オンライン学習の研究から、主に「モチベーションの維持が難しい」との報告が複数挙げられています

2020年に発表されたAdnanとAnwarの調査では、オンライン授業を受ける学生100人以上にオンライン学習での難しさについて調べています。

すると、「オンライン学習は従来型のリアル授業よりモチベーションが上がるか?」という質問に対して、

「同意する」・・・10%

「幾分同意する」・・・19%

「同意しない」・・・71%

となりました。

やはり、オンライン授業だとリアルの授業に比べてモチベーションが上がらないことが課題として挙げられます

また、2010年に発表されたPeacherとMaierの調査では、オンライン授業で満足度が低くなる要因として、「モチベーションの維持が困難だから」という項目が挙げられていました

このように、オンライン授業でモチベーションの維持が難しいことが複数の研究で示されています。

著者も、オンラインでの勉強は一人ですることが多いので、勉強を自分で進められない人にとってはツラい環境だなと思います。

では、このオンライン授業でも生徒の勉強へのモチベーションを維持する方法はあるのでしょうか?

②オンライン家庭教師でもリアルの授業と同じくらいモチベーションを維持し、成績を上げる方法

オンライン授業の環境でもモチベーションを維持する簡単な方法があります。

それは、「授業内容が自分の生活や人生と関係している」ことを生徒に意識させることです。

アメリカのジェームズ・マディソン大学の、HullemanとHarackiewiczが2009年に発表した研究では、科学の授業がいかに自分の日常生活や人生に関係しているかを高校生に意識させることで、彼らの科学への興味と成績を上げられることを示しました。

具体的には、200名以上の高校生を二つのグループに分けています。

一つ目は、「科学の授業のまとめを書かせる対照群」

二つ目は、「科学の授業が自分の日常生活にどう関連し、応用できるかを書かせる実験群」です。

この二つのグループの中で、さらに「自分は勉強で成功できる」と自信や期待を持っている生徒とそうでない生徒を比べています

つまり、「実験群かそうではないのかの、二つと勉強への期待度が高いかどうか」の二つの4パターンについて調べています。

すると結果は以下の図のようになりました。

※下図は著者が論文をもとにわかりやすく日本語変換しました。

科学への興味度と勉強への期待

まず、「科学への興味度の高さ」についてです。

左半分が勉強への期待度が低い人で、右半分が勉強への期待度が高い人です。

青が単に授業へのまとめを書かせた対照群で、オレンジが授業内容が日常生活にどう関係するのかを書かせた実験群です。

すると、左半分の勉強への期待度が低い人は、授業内容がどう日常生活に関係するのかを書かせた実験群で科学への興味度が高く、モチベーションが上がっていることがわかります。

一方、右半分の勉強への期待度が高い人は、どちらの条件でも勉強へのモチベーションは変わりません。

次に、成績を調べた結果が以下の図です。

科学の成績と勉強への期待

縦軸が成績の良さになっただけで、他は先ほどの図と同じです。

するとこちらも同様で、左半分の勉強への期待度が低い人は、授業内容がどう日常生活に関係するのかを書かせた実験群で科学へ成績が良くなっています。

つまり、「自分は勉強ができるようにはならない」と勉強への期待度が低い生徒ほど、授業内容が自分の日常生活や人生に関係していることがわかると、モチベーションが上がり、成績も良くなります

そのため、オンライン家庭教師でも、授業内容がどう生徒の日常生活に活きるのかを先生が示してあげると生徒のモチベーションも上がりやすくなります。

③まとめ

まとめると、

  • オンライン授業ではモチベーションの維持が難しい。
  • オンライン家庭教師の満足度が下がるのは、生徒のモチベーションの維持の難しさが関係している。
  • オンライン授業での生徒のモチベーションを上げるには、授業内容が生徒の日常生活とどう関係しているのかを先生が示すと良い。

前回の記事のように、オンライン家庭教師ではリアルの授業と違う環境になります

その違う環境でも上手く生徒のやる気と成績を伸ばすことは教育心理学の力を使えば可能になります。

かてきょの森」では、自分の好きな先生を選んで教えてもらうことができます。

自分と相性が良く、好きな先生に教えてもらえるだけで生徒の勉強へのモチベーションは上がります。

ぜひ下記のリンクをタップして、相性の良い先生を探してみてください。

参考文献

AdnanとAnwar (2020). Online learning amid the COVID-19 pandemic: Students’ perspectives. Journal of Pedagogical Sociology and Psychology, 2(1), 45-51.

HullemanとHarackiewicz (2009). Promoting Interest and Performance in High School Science Classes. Science, 326, 1410-1412.

PeacherとMaier (2010). Online or face-to-face? Students’ experiences and preferences in e-learning. Internet and Higher Education, 13, 292-297.