子どもの非認知能力を育てる先生の特徴
最近「非認知能力」の言葉をよく耳にします。
非認知能力は、学業ではなく、将来的な収入やあきらめない心など多方面に影響すると言われているからです。
以前の記事では、非認知能力を上げられる教師との出会いが、子どもの成績と将来の給料がプラスになることを紹介しました。
では、そんな非認知能力を育てるのはどんな先生なのでしょうか?
今回は、画期的な教育心理学の研究を紹介しながらお話します。
目次
①非認知能力を育てる先生は、誠実さが目立つ!
非認知能力を育てる方法論は、かなり議論されています。
研究資料もそれほど多くありません。
しかし、そんな状況下でも、アメリカのハーバード大学とアーカンソー大学の共同で行われた、Cheng & Zamarro(2016)の研究は、小学四年生から中学三年生まで、データを使用して先生と子どもの非認知能力がどのように関係するのかを調べています。
まず、非認知能力の調べ方は、「アンケートの回答」と「アンケートを真面目に答えているのか」の二つによって測定されています。
例えば、アンケートの項目で回答し忘れがないか、アンケート自体をしっかり提出できたかなど、アンケートを最後までやりきる誠実さを見ています。
最近「最後まで粘り強くやりきる力」として「グリット」という言葉がありますが、そのグリットを間接的に測定しているのです。
これは、子どもにおいても同様です。
他方、先生に関しては、普段の教室での様子をビデオで撮られ、安全で前向きなクラス運営を行って、子どもたちの勉強と成長を促せているかも見られています。
また、子どもたちは、先生がそのようなクラス運営ができていると思っているのかを答えています。
つまり、先生と生徒がそれぞれアンケートに真面目に答えられるかで非認知能力を測定し、さらにクラス運営ができているのかを、先生と生徒がそれぞれ判断します。
その結果、わかったことが以下の図です。
単純な図ですが、アンケートをきっちり回答できる誠実な先生であるほど、子どものやりきる力であるグリットは高まる傾向にあります。
非認知能力の要であるグリットが、先生によって変わってくる可能性があるのです。
②先生のクラス運営能力が、子どもの非認知能力を高める!?
では、クラス運営の結果はどうだったのでしょうか?
その結果を示したのが、以下の図です。
このように、先生が安心安全なクラスの雰囲気を作れて、子どもが所属意識を持てるようになれば、子どものグリットが上がり、勉強にも努力するようになります。
今回の非認知能力は、主に最後まであきらめずにやりきるグリットに焦点を当てていますが、先生の誠実性と場の雰囲気作りが子どもの非認知能力を育てるキーポイントになりそうです。
③まとめ
以上より、
- 非認知能力を育てる先生の特徴の一つ目は、誠実性が挙げられる。
- 非認知能力を育てる先生の特徴の二つ目は、安心安全で所属意識が持てるような雰囲気づくりができることが挙げられる。
- 今回の非認知能力は、主に最後まであきらめずにやりきる「グリット」に焦点を当てている。
子どもの非認知的能力は以前の記事でも紹介しましたが、先生の教育歴が長くても育てられるとは限りません。
今回の記事では、子どもの非認知能力を育てるには誠実な先生が良いと考えられます。
誠実な先生とは、最後まで投げ出さず、仕事に責任感があり、面倒なことまでもやりきるタイプの人でしょう。
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勉強だけではなく、子どもの非認知能力もこの際伸ばしてみましょう!
参考文献
Cheng, Albert and Zamarro, Gema, Measuring Teacher Conscientiousness and its Impact on Students: Insight from the Measures of Effective Teaching Longitudinal Database (April 22, 2016). EDRE Working Paper No. 2016-05, Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=2768970 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.2768970.